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1.
背景
n
1960年以来、シリア・アラブ共和国(以下「シリア」とする)政府は産業発展及び人口増加に伴って増大する水需要を満たすため、各種水資源開発および水管理計画を実施してきました。しかし、過去10年間、降水量の減少などによる水資源の枯渇に加え、水資源管理が適切に行われなかったこと等により、水不足は水質汚染とともに深刻化してきています。シリア政府にとって、逼追した水問題解消のための新たな水資源開発計画策定は緊急を要する課題となっています。
•

バラダアワジ流域のダマスカスは、半乾燥気候地域に属しています。
•
沿岸流域のラタキアは、地中海性気候地域に属しています。
n
シリア政府の要請を受け、国際協力事業団は1996年8月、バラダ・アワジ、オロンテス、沿岸部、アレッポ、ステップの5流域に対する総合的水資源開発のマスタープラン作成を目的として、「シリア国北西部・中部水資源開発計画調査(フェーズI)」を実施するとともに、優先プロジェクトのフィージビリティー調査として「シリア国北西部・中部水資源開発計画調査.(フェーズII)」を実施しました。

バラダ川の汚染状況(ダマスカス市東部)
n
シリア政府はこれらの調査結果を踏まえ、シリア全土における水資源情報管理の強化と政策過程への水資源情報の提供を目的とする「水資源情報センター」設立に係わるプロジェクト方式技術協力を日本政府に要請し、日本政府は同要請の具体的内容を検討するため、短期専門家派遣、ならびに3次にわたる短期調査を実施しました。
n
それら調査の結果、シリアでは正確な水文・気象観測に基づく水資源情報が整備されていないために、水資源開発や水資源管理等を管轄する灌漑省が、正確な基礎情報に基づいた適切な水資源管理を実施できていないことが明らかとなりました。正確な水資源情報の未整備は、水文・気象観測設備の不備、観測技術の低さ、地方流域総局から本省への情報伝達の非効率、水関連諸機関の情報共有化の不足、データ保管方法の不備、データの蓄積・処理等にかかる情報処理技術の低さなどが原因となっていることも確認されました。
n
日本政府は、シリアにおける水資源管理体制にかかる問題解決のために、特に優先度の高いバラダ・アワジ流域および沿岸部流域を対象地域として、気象・水文観測に係る基礎技術の向上、及びコンピューターシステム構築を含む全体的な水資源管理体制整備のための技術的支援を行うプロジェクトを形成し、協力を実施することとしました。
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2.経緯
1996/3
JICA 事前調査 (関連する基本情報の収集)
1996/8 – 1997/10
JICA 開発調査 (フェーズ I)
対象地域: バラダアワジ、オロンテス、沿岸、アレッポ、ステップ
1998/11 – 2000/1
JICA 開発調査 (フェーズ II)
対象地域: バラダアワジ
2000/3
予備調査
2001/3
予備調査
2001/9
予備調査 (プロジェクトサイクルマネジメント (PCM) )
ワークショップと機材調達の予備調査
2001/12
予備調査(プロジェクトデザインマトリックス (PDM))
2002年2月
- 予備調査
- 機材調達調査
2002年3月
R/D署名
2002年5月-6月
機材調達のための契約・入札図書の作成
2002年6月15日
プロジェクト開始
2004年10月2日~20日
プロジェクト終了時評価団
2005年3月23日
JCCおよびプロジェクト延長、R/D締結

2002年3月 R/D署名式の様子
2006年11月24日~12月14日
プロジェクト終了時評価団
2006年12月11日
JCC
2006年12月13日
M/M 署名
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3.プロジェクトの内容
(1)目的
水資源情報の適切な管理ができる体制を構築すること。
(2)センター位置
全体を統括するメインセンターはドゥンマル(ダマスカス郊外)に、2つの流域センターは、
バラダ・アワジ流域総局(GDBAB)センターをハラスタ(ダマスカス郊外)に、沿岸流域総局(GDCB)センターをラタキアに設置。
(3)対象地域
バラダ・アワジ流域総局(GDBAB)及び沿岸総局(GDCB)の2流域総局管内。
(4)活動期間
5年間。(2002年6月15日~2007年6月14日)
2年延長
(5)日本側投入
a.専門家派遣
長期専門家3名(2002,2003年度)
短期専門家6名(2002年度)
b.機材供与
ハードウエア(PC、プリンター、スキャナー等)、ソフトウエア(データベースソフト、GISソフト等)、観測機器(気象、表流水、地
下水、水質)、車両4台(メインセンター2,GDBABセンター1,GDCBセンター1)等。
c.研修員受入れ
少なくとも3名/年。
(6)シリア側投入
a.カウンターパートの配置
b.施設及び設備の整備
c.運営、維持管理費の負担
(7)ブロジェクトの運営、案施
a.プロジェクトの運営
日本側関係者、シリア灌漑省で構成される合同委員会(Joint Coordinating Committee)を年1回以上実施。また、シリア側関
係機関によるSteering Committeeを実施。
また、評価5項目(効率性、目標達成度、インパクト、妥当性、自立発展性)についてモニタリングを実施。
b.日常的なブロジェクトの運営
・運営委員会(Management
Committee、3センター合同の会議)を2週聞に1回実施。
・メインセンター会議を週に1回実施。
・日本側専門家会議を週に1回実施。

合同委員会の様子(2002年8月15日)
(8)活動内容
・ 水文・気象観測網の整備
・ 水文・気象データを含む水資源の需給に関連するデータ・情報収集
・ 収集データ及び情報の整理・処理・分析
・ 流域センターで収集・入カされたデータを本部に転送するための効率的な通信システムの確立
・ 収集データ及び情報のデータベース化
・ 水文年表等の作成
・ 政策決定者への情報提供
・ 水資源情報管理に携わる灌漑省職員の能カ開発
(9)想定される成果
・ 水資源情報センター本部及び2流域センターに水資源情報システム(観測体制、情報処理体制)が構築される。
・ 指標:プロジェクト終了半年前を目途に水資源情報システムが総合的に運用される。
・ 水資源情報センターの2流域総局から本部に転送される情報の正確さ。
・ 観測データがデータベースに蓄積されている。

整備されたトレーニング室
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4.センター概要
a. メインセンター
・組織・人員
センター長のほか、4つのセクションを設置。人員は15名。
・住所
3rd Floor, Building No.2, Jazera No.1, Dahyiet Dummar, Damascus, Syria
(P.O. Box 4451)
b. DRDセンター
・組織・人員
センター長のほか、4つのセクションを設置。人員は13名。
・住所
Water Resources Directorate of Damascus and Rural Damascus, Building, Harasta, Damascus-Homs
Highway, Damascus, Syria (P.O. Box 11277)
c. Lattakiaセンター
・組織・人員
センター長のほか、4つのセクションを設置。人員は15名
。
・住所
Water Resources Directorate of Lattakia Building, Lattakia-Aleppo Highway,
Lattakia, Syria (P.O. Box 514)
d.Tartousセンター
・組織・人員
センター長のほか、4つのセクションを設置。人員は13名
。
・住所
Water Resources Directorate of Tarous Building, Lattakia-Homs Highway,
Tartous, Syria (P.O. Box 370)
センター所在地
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センターの組織
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5.プロジェクト開始後の活動概要
n 日本への研修員の派遣(2002年5月、2003年3月
、7月)
n 3センターの準備
n 8箇所の気象観測所の整備
n 機材の調達と据え付け
n データベースの構築
n ネットワークの構築
n シリア・日本水シンポジウムの開催(2003年7月)
n ワークショップ、セミナーの開催
n 合同委員会(日本・シリア)の開催(2002年8月)
n OJTの実施
主な行事
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年月日 |
内容 |
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2002.5.18~6.2 |
日本でのC/P研修(3名) |
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6.15 |
プロジェクト開始日 |
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7.19~30 |
ゼイズンダム調査団シリア来訪 |
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8.15 |
日本、シリア合同委員会(JCC)の開催 |
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10.3 |
センター開所式 |
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11.27~28 |
ジョルダン水灌漑省の水情報システム、水文観測所を視察。 |
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12.24 |
シリア側関係省庁、機関調整会議(SC)の開催 |
|
2003.1.28~29 |
オランダ、シリア灌漑省主催 水セミナー参加 |
|
2.28~3.23 |
日本でのC/P研修(4名) |
|
3.18~20 |
第3回世界水フォーラム出席 |
| 5.27~28 |
世銀-EUラウンドテーブル(於:ベイルート)(2名出席) |
|
6.10 |
シリア側関係省庁、機関調整会議(SC)の開催 |
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7.3 |
シリア・日本水シンポジウムを開催 |
|
7.12~31 |
シリアC/P、日本での研修(3名) |
|
7.22 |
日本・シリアの合同委員会 |
|
7.31 |
オランダのプロジェクト主催のセミナー(於:ラタキア)(1名出席) |
|
8.23,27,9.8 |
日本での研修成果の発表会 |
|
9.21 |
Nader Al-BUNNI新灌漑大臣がWRICを視察 |
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10.18~24 |
運営指導調査団派遣 |
|
10.25~11.9 |
日本での研修(GDBAB総局長、GDCB総局長派遣) |
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11.16 |
灌漑省と国防省気象局で、データ交換に関する協定を締結。 |
|
12.10 |
無償資金協力に関する両国間での書簡の交換 在シリア日本大使、シリア企画庁長官等のWRIC訪問 |
|
12.8~15 |
国際建設技術協会事前調査団のシリア来訪 |
|
12.26~1.1 |
無償資金協力に係るコンサルティング契約のため、2名シリア来訪 |
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2004.1.12~15 |
エジプト出張(水資源灌漑省等訪問) |
|
2.17~18 |
シリア灌漑省、ドイツ主催の水セミナー参加 |
|
3.14 |
シリアプレスツアー、WRICを訪問 |
|
4.28, 5.5,9 |
日本での研修成果の発表会 |
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5.4 |
若林議員、榛葉議員(参議院、民主党)WRICを訪問 |
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7.15 |
日本・シリアの合同委員会 |
|
7.10~8.1 |
日本での研修(水文観測2、5名参加) |
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9.4~19 |
準高官級日本研修(灌漑副大臣、沿岸流域総局長) |
|
9.9 |
C2C (C/PからC/Pへのワークショップ) |
|
10.10~31 |
日本での研修(水資源計画)の実施(5名参加) |
|
10.2~20 |
プロジェクト終了時評価団来訪 |
|
11.8 |
P4P(プロジェクト促進ワークショップ) |
|
11.22~23 |
シリア・オランダ総合水管理セミナーへの出席 |
|
12.2 |
専門家等報告会(於JICA事務所) |
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12.8~10 |
国土交通省アドバイザリー調査団来訪 |
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2005.1.31~2.2 |
ヨルダン出張(水灌漑省訪問) |
|
2.16 |
水資源レポートセミナー開催 |
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3.3 |
無償機材供与、引渡し式 |
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3.6~9 |
エジプト出張(水資源灌漑省等訪問) |
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3.23 |
JCCおよびプロジェクト延長R/D締結 |
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5.7~14 |
灌漑大臣訪日 |
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6.16 |
日本・シリア合同委員会(JCC)開催 |
|
7.16~8.12 |
エジプトIT研修 |
|
9.5 |
第3回シリア日本水シンポジウム開催 |
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12.3-24 |
日本での研修(水文観測、4名) |
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2006.1.1 |
総合水資源公団(GOWR)発足、WRICはGOWR傘下となる。 |
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3.20 |
WRICタルトゥースで水シンポジウム開催 |
|
4.3- |
Nimer Assad氏が埼玉大学へ留学(文部科学省奨学生) |
|
4.12 |
JCC開催。(4年度活動報告と5年度計画) |
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6.8 |
第4回シリア日本水シンポジウム開催 |
|
8.31 |
JCC開催 |
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11.25-12.14 |
プロジェクト終了時評価団来訪 |
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12.11 |
JCC開催 |
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12.18 |
SSM地下水モデリングセミナー開催 |
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2007.02.10~03.01 |
エジプト地下水モデリング研修 |
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02.14 |
国枝在シリア日本大使、WRIC訪問 |
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02-18~22 |
イランUNESCOイスラム圏WRM国際会議出席・発表 |
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02.25~03.06 |
モロッコ視察 |
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04.25 |
JCC開催(最終報告原案、機材補修手続、研修報告) |
日本での研修(2002年5月)

説明を受ける研修員(3名)
メインセンターでの開所式 (2002年10月3日)

天江前日本大使とマルティニ前灌漑大臣によるテープカット
ジョルダン出張(2002年11月27、28日)

ジョルダンの水政策について、計画課長から説明を受ける様子
シリア・オランダ水セミナー(2003年1月)

ホテルでのセミナーの様子
第3回世界水フォーラム(2003年3月)

シリア代表団の様子
シリア・日本水シンポジウム(2003年7月3日)

ダマスカス市内会場のホテル
運営指導調査団の調査の様子(2003年10月)

現地調査と協議の様子
灌漑省と国防省気象局による協定調印式(2003年11月16日)

灌漑大臣(右)と気象局長官(左)
在シリア日本大使とシリア企画庁長官等のWRIC訪問(2003年12月10日)

JICA専門家がシステムの概要を説明
国際建設技術協会より3名の調査団が派遣(2003年12月8日-15日)

Kastounダム Afamia Bダム
エジプト出張(2004年1月)

水資源灌漑省地域訓練センター エジプト水資源灌漑省
シリア・ドイツ水セミナー(2004年2月)

議論の様子(左) WRICの活動について発表(右)
シリアプレスツアーのWRIC訪問(2004年3月)

説明を受けるツアー参加者
第2回シリア・日本水
シンポジウム(2004年6月)

開会式と発表
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